1日目(7月18日)
大阪から名神・中央高速に乗り飯田ICで降り15:50南信濃遠山郷に到着した。水車のある民宿「いろりの宿 島畑」に宿泊する。 遠山郷は日本三大秘境に数えられる山奥の山村で、段々畑が有名である。
重要無形民族文化財の「遠山霜月祭」、神様の湯治場伝説の「かぐらの湯」、日本の原風景の残る下栗の里、 南アルプスの恵みを含んだ名水「観音の霊水」、南アルプスのパノラマを望むしらびそ高原などで知られている。
2日目(7月19日)
3:00起床、朝食と準備をして、4:00宿を出発した。宿の送迎バスが登山口の便ヶ島まで送ってくれた。宿から1時間20分要した。 ![]()
便ヶ島までの道は林道赤石線で、細くてでこぼこの道路で、片側は崖、反対側は深い谷で、最近多い集中豪雨がもしあれば、 たちまち通行止めになりそうであった。 便ヶ島は森林公園になっていて、トイレや水場もあった。標高920mである。車でここまで来ることができる。 ![]()
5:50登山開始。登山道は、最初は廃線になった森林鉄道に沿ってある。
遠山郷は林業で栄えた村で、昭和19年から43年まで森林鉄道を利用して伐採した木材を運んでいた。その後は林道赤石線が竣工されたが輸入木材のために森林業は廃れてしまった。昔は、遠山川を利用して筏を組んで運んだそうだ。南アルプスは森が深く、登り始めて直ぐ、野生の猿に出くわした。西沢渡し(標高1090m)には熊に注意の看板があった。 6:45西沢渡しに到着。遠山川を渡る荷物用篭渡しがあった。遠山川の水量が多いときは、篭渡しに乗ることになる。 その日の水量は大したことはなかったが、本来ある筈の丸太橋が流されていたので、元気な者は石伝いに渡り、女性達は篭渡しに乗って渡った。 奈良と津川村の野猿のようにロープを引っ張って渡すが、対岸の人が手助けすることができる。 篭渡しは1往復するのに結構な時間がかかった。全員渡り終えるのに25分要した。 遠山川を渡ると、本格的な登山道となった。桂や鬼クルミの広葉樹とコメツガなどの針葉樹が混在する豊かな森である。 10:30苔平(標高2050m)に到着。登山道は苔やシダが目立つ。雨や霧が多く、1面緑の世界である。道の石は赤石である。海のプランクトンの色で、 100万年前に隆起したものである。赤石山脈の山々の特徴だそうだ。 ![]()
登山道横にギンリョウソウ(銀竜草)を見つけた。シャクジョウソウ科の多年草 。腐生植物としてはもっとも有名なものの一つ。別名ユウレイタケ。 ![]()
11:50薊畑分岐(標高2400m)に到着。そこから25分下って、PM12:25聖平小屋に到着した。天気が良ければ本日中に聖岳に登るという計画もあったが、雷が鳴り、雷雨となったので、 明日登ることになった。出発が1時間早まりAM4:00となった。
聖平小屋には、フルーツポンチが用意されていて食べ放題であった。疲れた体にはうれしい糖分であった。
3日目(7月20日)
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3:00起床。朝食を済ませ、AM4:00に聖岳に向かって出発。再び帰ってくるので、大きな荷物はデポし、軽装で出た。雨は上がっていた。 ヨツバシオガマ(四葉塩釜)。 マイズルソウ(舞鶴草)。 シナノキンバイ(信濃金梅) 5:30小聖岳(標高2662m)に到着。
聖平小屋から1時間30分要した。聖岳をバックに撮影。ガスが下から吹き上げてくる。ガスの切れる合間を見計らって小聖岳から聖岳を撮影。 ハクサンシャクナゲ(白山石楠花) これから登る聖岳の稜線を眺める。 聖岳の岩稜にイワベンケイ(岩弁慶)。 ミネウスユキソウ(峰薄雪草)。 聖岳の崩落跡。荒々しい岩場となっている。 イワツメクサ(岩爪草) オヤマノエンドウ(御山の豌豆) ミヤマダイコンソウ(深山大根草)。 ハクサンイチゲ(白山一華)。 6:45聖岳頂上(標高3013m)に到着。聖平小屋から2時間45分要した。ご来光はガスのため見ることはできなかった。 聖岳山頂から見た赤石岳。 頂上からの景色を楽しんで下山。富士山はガスで見えなかったが、偏光サングラスでは富士山のシルエットが大きく見えた。 振り返ってみた聖岳の遠望。 8:05小聖岳を通過。 マルバダケフキ(丸葉岳蕗) ハクサンフウロ ハクサンフウロ(白山風露) 9:40聖平小屋に戻る。聖岳往復に5時間40分要した。昼食のカレーを食べ、フルーツポンチも食べて10:10易老岳を目指して出発した。 キバナシャクナゲ(黄花石楠花)。 コイワカガミ(小岩鏡)の群生。 ハクサンチドリ(白山千鳥)。 11:20南岳(標高2702m)到着。聖平小屋から1時間10分要した。ガスのため展望は効かなかった。 ツマトリソウ(褄取草) 黒い花はクロバナロウゲ(黒花狼牙) 上河内岳遠望。 途中雪渓が残っていた。 ナナカマド(七竈)の花。 アオノツガザクラ(青の栂桜)。 12:05上河内岳肩に到着。ここから頂上までは15分。 上河内岳(標高2803m)頂上に到着。日本二百名山の一つである。ここでもガスで展望は効かなかった。 上河内岳を下って、茶臼小屋をめざす。茶臼岳分岐 14:05茶臼小屋に到着。本日の行動はこれで終了。雲があり、ガスが多かったが雨に会うことなくよかった。
4日目(7月21日)
3:00起床。準備をして4:00茶臼小屋を出発。朝食と昼食はいなりずし4個入った同じものであった。天候は良さそうであるが、 ガスが下から上がってきて遠くの景色は見ることができない。4:30茶臼岳(標高2604m)登頂。 4:50茶臼岳を下って、仁田池に到着。 5:20希望峰(標高2500m)に到着。 6:50易老岳(標高2354m)頂上に到着。 周りはコメツガ、シラビソ、トウヒ等の森であり、展望は全然効かない。 7:00易老岳を出発。光岳に向かう。森の中緩やかなアップ、ダウンの道を行くと、三吉ガレに着く。 そこからははるか下に遠山郷が見渡せるという話だが、南アルプス最南端の山で、太平洋に近く霧が多い。 シラビソ、トウヒ、ダケカンバの森を下ってゆくと三吉平に到着。ここから稜線に狭まれた沢すじの登りとなり、静高平に到着する。 以前、静岡高校の生徒がこの地で合宿をしたので、この名がついたそうである。水場がある。豊かな森に育まれた南アルプスの水であった。 やがて、センジヶ原に至ると、イザルヶ岳の分岐に到着する。イザルヶ岳の頂上からは、360°南アルプスを見渡せるそうであるが、 今日はガスで展望は効かないようである。 センジヶ原の亀甲状土。土の中の水分が凍ったり、溶けたりして土が亀甲状に盛り上がったものである。氷河時代の名残である。 センジヶ原と光小屋。 9:45光小屋に到着。易老岳頂上から、2時間45分要した。光小屋は県営である。 10:05光岳頂上。光小屋から15分で光岳(標高2591m)に到着する。 光岳の頂上は森の中で眺望は全く効かない。 光岳の名前は、頂上近くの2つの石灰岩の巨岩が遠くから太陽に照らされて光って見えることから名がついたそうだ。 光岳から15分ほど下ると石灰岩の巨岩のテカリ石に到着する。 岩の間にミヤマムラサキ(深山紫)。 光石の上で集合写真を撮る。 10:45光岳に戻る。 11:00光小屋を出発。来た道を戻って12:35三吉ガレ(標高2200m)に到着した。行きに通った時よりもガスが少なく、南アルプスの山々が臨まれた。 13:10易老岳頂上に戻る。デポした荷物を整理して、これから易老渡までの急坂を下る。登り6時間、下り3時間という、キツイ下りである。 15:30面平(標高1480m)に到着。サワラ、イヌブナ、ミズナラ、モミ、ツガの大木が多い。お面の材料として、ここの材木が使われたのでその名がついたそうだ。 16:55易老渡に到着。易老岳頂上から3時間35分要した。遠山川に架かる吊り橋を渡って終わりである。易老渡から宿の送迎バスに乗り、宿には18:20到着した。
5日目(7月22日)
8:00宿を出発。遠山郷での名所の観音大杉を見学した。4本合体した家族杉であった。 そこには平成名水100選に選ばれた観音霊水がある。豊かな南アルプスの森で育まれた名水である。
中央・名神高速を乗り継いで、大阪には15:40に到着した。梅雨あけ前の不安定な気候にも拘わらず、雨の影響をそれほど受けず、快適な山旅であった。
【宿泊先】 いろりの宿 島畑 連絡先0260-34-2286 聖平小屋・茶臼小屋 連絡先054-260-2377