下の廊下

(1988年10月)

大阪を夜行列車で信濃大町まで行き、タクシーで扇沢駅まで出る。下の廊下を行くときは、ヘルメットとヘッドライトを持参する必要がある。 岩壁を穿った道は高さが低く岩で頭を打つことがあるからだ。雪渓がかたまって登山道を塞いでいるときは、 回り道をするが、一部トンネルになっているところがある。人がくぐるのがやっとの大きさで、 長さは15m程度であるが中で曲がっているので真っ暗である。ヘッドライトが必要になるのである。 その中は水浸しで靴下までずぶぬれになる。長靴があればよいのだが、荷物になるので無理である。 訪れる時期としては、9月から10月中旬であろう。8月はまだ登山道の整備が終わってなく、10月も下旬になると積雪の心配があるからだ。

 
地図

1日目

扇沢
大阪を夜行列車で発ち、信濃大町からタクシーで扇沢駅に到着した。ここは立山黒部アルペンルートの起点である。 排気ガスから自然を守るため黒部ダムまではトロリーバスが運行されている。所用時間16分で黒部ダムに到着した。
黒四ダム
黒四ダムは雄大な景色の中にあり、周りの山々は紅葉し湖面に映えて美しい。
ダム下り
黒部ダム駅から下の廊下方面へトンネルを抜けると黒部川に下りる道にでる。曲がりくねった道を下りてゆき、後ろを振り向くと黒部ダムが見えたが、周りの雄大な景色のためにそんなに大きく見えないのは不思議である。
内蔵助出会2
内蔵助出会1
黒部ダムを下って1時間。内蔵助出合にでる。天気は良く、紅葉も美しく最高である。
別山出会1
別山出会2
内蔵助出合を過ぎてしばらくいくと、対岸は鳴沢の絶壁が続き、下流は大タテガビンの絶壁が行く手をふさぐように林立している。空は真っ青で、絶壁に張り付くように生える木々の紅葉が美しい。
河原で昼食
下の廊下は切り立った絶壁と深い谷に象徴されるが、所々に川原に沿ったコースがあり、黒部川の水を使って昼食を作った。
s字峡
十字峡は棒小屋沢と剣沢とが十文字に合流しているところである。やがて対岸上方に作郎谷宿舎が見える。黒四ダム工事の時に使用されたビルである。その宿舎の北方地下に黒四発電所がある。s字峡、東谷出会を経て、仙人ダムにでる。そこから峡谷を離れて急登するとやがて仙人池、池の平からの合流点にがあり、そこから下って阿曽原温泉小屋に到着する。
阿曽原
阿曽原温泉小屋に泊まる客は、剣岳から仙人沢を降りてきた登山客か、下の廊下を歩いてきた登山客である。小屋は厳しい冬を避けるため、組立式になっており晩秋には解体される。小屋から5分ほど下ったところに温泉が沸いている。黒部川のせせらぎを聞きながら、疲れを癒すことができる。露天風呂だが更衣室はない。時間帯によって女性と男性を分けている。

2日目

水平
阿曽原温泉小屋をでてすぐに急な登りが始まるが、すぐに水平道路にでる。壁をえぐった道や、トンネルを穿ったり、鋼材の橋を渡すなどなかなか険路である。トンネルの中は水浸しであり、またトンネル内が曲がっているために先が見えずに真っ暗になるのでランプが必要である。前方に奥鐘山の大障壁がずっと見える。阿曽原温泉小屋を出発して約4時間ほどで欅平に到着した。
欅平
欅平駅に到着すると、まずトロッコ列車の搭乗予約を済ませる。欅平らはトロッコ列車でやってきた一般客も多くにぎわっており列車の予約が必要である。黒部川にかかる奥鐘橋を渡って名剣温泉に向かった。名剣温泉まで約10分である。
名剣温泉
名剣温泉に行く途中で、奥鐘山からの水が道路に滝のように流れ出ている場所があり、そこでソーメンをゆがいて昼食をとった。非常に冷たい水であった。 名剣温泉で登山の疲れをとった。

【宿泊先】
 阿曽原温泉小屋   宇奈月連絡所0765-62-1026 連絡先0765-52-1298