1日目(8月26日)
大阪駅を9時15分に出発し、名神、中央自動車道を通り松川ICで高速を降りて、大鹿村小渋温泉「赤石荘」に15時25分に到着した。大鹿村には二つの温泉がある。 一つは塩っ辛い温泉「鹿塩(かしお)温泉」と炭酸水素塩でリュウマチや神経痛に効用がある小渋温泉である。 今回は小渋温泉「赤石荘」に宿泊する。中央アルプスを眺めながらの露天風呂が人気である。 赤石荘の玄関には熊の剥製が置かれていた。 早速人気の露天風呂に入った。まさに天空の露天風呂である。露天風呂からはるか遠くに中央アルプスを望み、眼下には大鹿村が眺められる。無形民俗文化財の大鹿歌舞伎が有名で、神社の境内などを舞台に今も春と秋に定期公演がある。
2日目(8月27日)
翌日は3時30分に起床して朝食のおにぎりを食べて、4時20分に鳥倉林道を目指した。赤石荘から1時間で鳥倉林道ゲ―トに到着した。林道はここで進入禁止になっていた。駐車場とトイレが設置されている。伊那バスの越路停留所がある。伊那バスだけが侵入禁止を超えて 鳥倉登山口まで行くことができる。林道の途中の岩壁が危険で一般車は進入禁止になっているのである。 標高1666m。 林道は地道が多いのが普通であるが、この林道は舗装がしてあり走りやすい道路である。自家用車で来た人は林道ゲートに駐車し、そこから歩くのであるが、自転車を持ち込んで、登山口まで行く人も多くいるそうである。鳥倉登山口には何台かの自転車が置いてあった。 鳥倉林道ゲートの越路から歩いて40分で登山口に到着した。伊那バスは夏期間限定で鳥倉登山口と中央自動車道松川IC間を一日2往復で運行している。標高1780m。
準備運動をして、6時15分に三伏峠に向かって出発した。 登山道はカラマツ林の中を行く。日の当たる場所にはマルバダケブキ(丸葉岳蕗)の花が咲いていた。キク科メタカラコウ属の多年草。鹿が嫌うのでよく繁茂している。
鳥倉登山口から三伏峠までは位置を示す標識が掲示されている。
植林されたような美しいカラマツ林の中を歩いて行く。 針葉樹林内に生えるゴマノハグサ科の多年草であるセリバシオガマ(芹葉塩竈)。葉が芹に似ているので名づけられた。
キキョウ科のホタルブクロ(蛍袋)。 キンポウゲ科オダマキ属のヤマオダマキ(山苧環)。
キク科ウスユキソウ属のミネウスユキソウ(峰薄雪草) キンポウゲ科サラシナショウマ属の多年草サラシナショウマ(晒菜升麻)。若菜を茹でてあく抜きのため水に晒してから食べることからきた名前。 キク科コウモリソウ属の多年草であるカニコウモリ(蟹蝙蝠)。高山の薄暗い森林帯に群生する。 キク科ヤマハハコ属の多年草であるヤマハハコ(山母子)。春の七草ハハコグサに似ているので名づけられた。 イチヤクソウ科イチヤクソウ属のコバノイチヤクソウ。 鳥倉登山口を出発して2時間50分で三伏峠に着いた。標高2615mと日本で一番高いと言われる三伏峠にある三伏峠小屋。営業期間は7月1日〜9月30日。収容人数100名。水場は夏季限定で小屋から往復25分のところにある。ただし、宿泊者には飲料用として無料でプレゼント。ここから塩見岳を往復すると8時間余りだから、塩見岳登山の基地にする人が多い。
三伏峠掲示板。日本で一番高いと言われる峠であることを表示。 日当たりのよい草地に生息する多年草のオトギリソウ(弟切草)。
ハマウツボ科シオガマギク属のトモエシオガマ(巴塩釜)。 キク科キオン属の多年草であるタカネコウリンカ(高嶺紅輪花)。 ユキノシタ科ウメバチソウ属の多年草。花が梅の花のようなウメバチソウ(梅鉢草)。 リンドウ科リンドウ属の多年草。湿原や草地に生えるオヤマリンドウ(御山竜胆)。 キンポウゲ科トリカブト属のトリカブト(鳥兜)。 10時30分本谷山に着いた。三伏峠から1時間20分要した。標高2658m。 本谷山から展望が開けた。左に仙丈ケ岳で右が甲斐駒ケ岳。 左が日本第2位の標高の北岳で右が第3位の間ノ岳。
シラビソの林を延々と歩いて塩見小屋に向かう。 12時25分塩見小屋に到着した。三伏峠から3時間15分要した。標高2760m。ここは2016年に改築されて新しくなっている。収容人数30人、水場は往復50分の所にある。トイレは携帯式で、1セットは配布される。それ以上必要な時は、1セット200円で購入する。携帯トイレ用ブースが3か所設けられている。
塩見小屋から見た左側塩見岳西峰と右側天狗岩。
塩見小屋に荷物をデポして塩見岳を目指す。リンドウ科リンドウ属のトウヤクリンドウ(当薬竜胆)。
ナデシコ科ハコベ属のイワツメクサ(岩爪草)。高山の礫地に多く分布する。 キキョウ科ホタルブクロ属のイワギキョウ(岩桔梗)・ キク科トウヒレン属のクロトウヒレン(黒唐飛簾)。 ゴマノハグサ科シオガマギク属のタカネシオガマ(高嶺塩釜)。 ナデシコ科ナデシコ属のタカネナデシコ(高嶺撫子)。 マツムシ科マツムシ属のマツムシソウ(松虫草)。昆虫のマツムシが鳴く頃に咲くのでこの名がつけられている。 ハマウツボ科コゴメグサ属の一年草であるミヤマコゴメグサ(深山小米草)。 塩見小屋から1時間15分で塩見岳の西峰に到着。標高3047m。二等三角点が設置されている。 西峰から5分で東峰に到着。標高3052m。塩見岳の最高峰である。
東峰から西峰に帰る。西峰から見た東峰。 西峰から見た塩見小屋方面の稜線。
塩見小屋に帰るとき振り返った西峰の岩稜。
3日目(8月28日)
塩見小屋を5時20分に出発して三伏峠まで2時間55分要した。三伏峠から鳥倉登山口まで2時間10分で下りてきた。私たちが到着したとき、ちょうど鳥倉登山口の停留所を回収する現場に出くわした。松川ICと鳥倉登山口を結ぶ伊那バスは今期はもう終了したのである。鳥倉林道ゲートまで歩いて、マイクロバスで旅館に帰り、入浴と昼食をとり、13時20分旅館を出発した。大阪には19時30分に到着した。
今回は天候に恵まれて、北アルプス、中央アルプス、南アルプスの山々が鑑賞出来て良かった。ただ、塩見岳の頂上では、ガスが発生して展望がきかなかったのは残念である。最後の写真は本谷山からの鬼富士。ほんのわずかだけ頭を覗かせている。
【連絡先】 小渋温泉「赤石荘} TEL 0265-39-2528 塩見小屋 TEL 070-4231-3164